「源氏物語」五十四帖の色
発行:紫紅社
編著: 吉岡更紗
原著:吉岡幸雄
「源氏物語」の色彩を徹底再現
光源氏の愛した色が蘇る
『源氏物語』では、第一帖「桐壺」から第五十四帖「夢浮橋」まで、それぞれの物語に登場する女君、男君たちが、競うがごとくに何枚も重ねた美しい衣装「襲の色目」(かさねのいろめ)を、紫式部がさまざまな人物の視点から語らせることで、日本の四季の彩りの豊さと多彩さを描写している。
染色家 (故) 吉岡幸雄は、『源氏物語の色辞典』(2008年刊) で、『源氏物語』五十四帖を丹念に読み解き、物語のなかで語られる色と衣裳に焦点をあて、同時に、平安時代の宮廷や寺社などの宗教提起・行政的な規定をまとめた法令集『延喜式』に記された染織と植物染についての記述を解読し、平安王朝の「襲の色目」を往時の染色法そのままに再現した。
新装再編集版となる本書には、吉岡幸雄がこだわり抜いた五十四帖の色彩図版をすべて掲載。テキストは染色と色材の解説を中心に抜粋し、掲載全文に英文を並記、美しいコンパクトサイズとして再編集を行った。『源氏物語』からの引用は、名訳「The Tale of Genji」(源氏物語 英文版 エドワード・サイデンステッカー訳)を掲載。
『源氏物語』のさまざまな登場人物たちは、どのような衣裳を身にまとい、その色の重なりにどのような心情のうつろいを込めたのか。『源氏物語』を豊かな色彩で楽しむための副読本。