2015年1月2日〜1月18日、美術館「えき」KYOTO (撮影: 川瀬美香)
染司よしおかは、京都の地で江戸時代から続く染屋で、私、吉岡幸雄で五代を数えます。日本において古くから伝わってきた植物染、つまり自然に存在する草木花の中から美しい色彩を引き出して絹や麻、木綿、和紙などの素材を染めることを生業としております。晩秋に入ると収穫された稲藁を竃で燃やし、灰汁をつくり、一月からは二月二十日にお納めする奈良東大寺修二会(お水取り)で飾られる椿の造り花の和紙を紅花で染める、というように一年を振り返ると、工房の仕事は歳時記のようであり、自ずと季節の細やかな変化や移ろいに敏感になります。また、薬師寺、岩清水八幡宮など古社寺の伝統的な行事にも関わり、日本古来の染織技法を探求することにも重きをおいております。
本展では、春夏秋冬、移りかわる季節を表現した作品、古社寺にお納めしております和紙の造り花や伎楽衣裳、そして現代の生活に加えられる美しい色彩を一堂にご覧いただきます。めでたき一年のはじまりから、暦をきざむように日本の色、四季の彩をどうぞゆっくりお楽しみください。
(平成27年1月 染司よしおか主宰 吉岡幸雄)
日本の色辞典
日本の伝統色の色標本・色名解説の集大成
著者: 吉岡幸雄
染色: 染司よしおか 福田伝士
発行: 紫紅社
日本の色の十二カ月
古代色の歴史とよしおか工房の仕事
著者: 吉岡幸雄
発行: 紫紅社