日本の四季の美しさを衣装に取り入れた平安王朝の美「かさね」。日本の色彩の源流ともいうべき王朝のかさね色を、江戸時代の色刷木版書「薄様色目」を復元する形で植物染による染め和紙で再現し、『王朝のかさね色辞典』(紫紅社刊) に収載。また、2011年12月20日〜25日、日本橋高島屋にて吉岡幸雄の仕事「王朝のかさね色」展を開催いたしました。
「染司よしおか」は、京都で江戸時代の後期より染織の仕事にたずさわっております。
私どもは日本において古くからおこなわれてきた植物染、つまり自然界の草木花の中から色素を汲みだして染色することを専らとしております。
奈良の東大寺、薬師寺、また京都の石清水八幡宮などの古寺社の年中行事においての仕事が多く、自ずと日本古来の染色技法を探求することに重きをおくことになります。
これまでも、日本橋高島屋において、飛鳥・奈良時代の染織『源氏物語』の色など
私は、かねてより平安時代中期ころから花開いた「かさね色」を主題に、それにまつわる色彩の数々を植物染で再現し、書籍を出版したいと考えつづけておりましたが、ようやくここに実現いたしました。
日本人は古代より自然を崇拝し、四季それぞれに移り変わる草木花の美しさをとらえて詩歌に、文章に、そして自らがまとう衣裳に、さらに愛しい人へおくる
今日ではとかく自然への崇拝や季節感を失いがちになってきていますが、いま一度、自然との共生という言葉を想いおこしていただきたいと想います。
そして王朝人の心にかえって日本の美しい四季の彩りを伝統の植物染によって再現した数々をご覧いただきたいのです。
ご来場いただきましたことに、心より感謝するしだいです。
平成23年12月 吉岡幸雄