江戸時代後期から染屋を営む「染司よしおか」は京の骨董街祇園新門前通にあって、染織史家吉岡幸雄さんのお店として知られている。私も何度かおじゃましているが、きれいな美しい色があふれていて、なんだかうきうきしてしまう。「いつかはこの色が似合うようになりたい」と思うシルクのストールをはじめ、バッグや小物、アクセサリーなど植物染ならではの風合あるものが並んでいる。
それら色とりどりの品は、手にとってよく見ると、同じように見える色合も実は少しずつ違っていることに気がつく。材料の状態や気候によって染めの具合が微妙に変わってくるからで、そこが植物染の魅力なのだ。
赤は紅花、黄色は刈安、藍色は蓼藍、紫は紫根(紫草の根)と、花や実、樹皮、草根などを用いて染めるが、材料の入手が難しいため種まきからはじめる色もあるという。色の汲み出しから完成まで、すべてが熟練の職人の手作業でなされている。
日本古来の伝統色を後世に伝えたいという吉岡さんの志が形を変えて並んでいるように見える。
染司よしおか
〒605-0088 京都市東山区西之町206-1(新門前通大和大路東入ル)
TEL:075-525-2580
営業時間:10時〜18時
休日:水曜日 / 夏期休暇・年末年始
染司よしおか公式サイト: textiles-yoshioka.com