染織史家 吉岡幸雄 略年譜

昭和21年
(1946)
京都市に生まれる。生家は江戸時代から京都で四代続く染屋である。父常雄はのちに大阪芸術大学教授として教壇に立つとともに、世界の染色研究に没頭し、とくに貝紫の研究の第一人者であった。伯父に日本画壇の重鎮、吉岡堅二がいる。
昭和46年
(1971)
早稲田大学第一文学部卒業。
昭和48年
(1973)
美術図書出版「紫紅社」を設立。美術図書の編集と美術工芸の歴史を研学する。

『根来』、『琳派』(全5巻)、『伊藤若冲』など多数の美術工芸図書を出版。『染織の美』(全30巻)、『日本のデザイン』(全16巻) の編集長を務める。

美術展覧会「日本の色」、「桜」(東京・銀座松屋) などを企画、監修する。広告のアートディレクターも務め、コマーシャルフィルム、電通カレンダーの制作などに携わる。
昭和63年
(1988)
生家「染司よしおか」五代目当主を嗣ぐ。染師福田伝士氏と二人三脚で日本の伝統色の再現に取り組む。

「染司よしおか」は花樹草に宿る色を汲み出して糸や布を染める植物染や、貝による紫染である帝王紫の染色を専らとしている。毎年、東大寺お水取り(修二会)の椿の造り花の紅花染和紙、薬師寺花会式の造り花の紫根染和紙、石清水八幡宮放生会の「花神撰」を、植物染で奉納。ほかに春日大社、宝塚清澄荒神など古社寺の伝統的な仕事にも多く従事している。
平成3年
(1991)
奈良薬師寺三蔵院に掲げる幡5旗を多色夾纈によって制作。(きもの文化賞受賞)
平成4年
(1992)
奈良薬師寺「玄奘三蔵会大祭」での伎楽装束45領を制作。
平成5年
(1993)
奈良東大寺、伎楽装束40領を制作。天平の彩りと文様をすべて植物染料による染織の古法にのっとって再現する。
平成9年
(1997)
東京地下鉄南北線溜池山王駅のJT提供装飾デザインアートウォールの装飾アートディレクターを務める。
平成12年
(2000)
日本の伝統色466色を植物染料で再現した『日本の色辞典』を紫紅社より刊行。
平成13年
(2001)
中国敦煌の発掘の唐時代の幡4旗を復元。

ドイツ・バイエルン州ミュンヘン市共立手工芸ギャラリーにて「染司よしおか展」開催。

法隆寺聖徳太子1380年忌にあたり、法隆寺伝来「獅子狩文錦」を吉田頼修氏らの協力を得て、空引機を制作し、往時の色と文様を復元。(この模様は、NHK BSハイビジョンで放映された)

NHK教育テレビ人間講座「日本人の創った色」を12月~平成14年1月、8回にわたって担当。
平成14年
(2002)
1月、東京OZONEホールにて、「植物染 日本の色『虹色どろぼう』―染司よしおかドイツミュンヘン帰国記念展―」開催。

10月、東大寺大仏開眼1250年慶讃大法要にあたり、次のような仕事に取り組む。

  • 正倉院に収蔵される「鹿草木夾纈屏風」を古法にのっとり復元。
  • 幡12旗(杉本建吉画)を制作。
  • 開眼の縷を制作。
  • 東大寺管長の紫根染による紫衣ならびに糞掃衣を復元し、10月15日、橋本管長が着衣して大法要にのぞまれた。
  • 伎楽の装束20領を植物染料により制作。

12月、岩波新書『日本の色を染める』を岩波書店より刊行。
平成15年
(2003)
東京日本橋高島屋にて「日本の色 天平の彩り展」を開催。
平成16年
(2004)
尾形光琳画 国宝「紅白梅図屏風」の流水を藍で再現する。(NHK特集で放映)。

4月、兵庫県福崎町・蓮華寺の幡28旗、袈裟、打敷などを植物染で制作。

NHK教育「心の時代」に出演。

シャネルの化粧品ディレクター、ドミニク・モンクルトワ氏が吉岡の紅花、蘇芳の「赤」に注目し、口紅の製品を開発し発売となる。(NHK番組「赤とルージュ」にて放映)
平成17年
(2005)
東京日本橋高島屋にて「甦る王朝の美 源氏物語の色」を開催。

ドイツのオイティン東部ホルシュタイン博物館にて、山本英明氏、山本隆博氏と共に「日本の塗りものと染めもの」(Lack-und Farbekunst aus Japan) 展覧会を開催。
平成18年
(2006)
イギリスのシティー・オブ・ロンドンフェスティバルにて St Bride's Church で日本の色・伝統の美を基調にした作品を出展。
平成19年
(2007)
4月、サントリー美術館にて吉岡の作品「祝の縷」を展示。

5月、イギリス大英博物館 (British Museum) にて JAPANESE TEXTILE について講演。

11月、イギリスロンドン日本大使館にて「源氏物語の色」について鼎談。
平成20年
(2008)
米国アトランタ州ジョ-ジア大学、インディアナポリス大学、シアトルのワシントン大学にて日本の染織について講演。

「源氏物語千年紀」にあたって、源氏物語の色五十四帖を再現

成田国際空港第二ターミナル到着ロビーのアートディレクターをつとめる。 (グッドデザイン賞受賞)

日本橋高島屋にて「染織家吉岡幸雄の仕事 千年紀―源氏物語の色」展を開催。
平成21年
(2009)
京都府文化賞功労賞受賞

9月、オーストラリアのシドニーで開催された『2009年色彩国際会議』にてゲストスピーカーとして講演 (11th Congress of the International Colour Association 2009)。

12月、日本橋高島屋にて「日本の色 万葉の彩り 吉岡幸雄の仕事」展開催。
平成22年
(2010)
10月 第58回 菊池寛賞受賞(日本文学振興会主催)
平成23年
(2011)
7〜8月 菊池寛賞受賞記念「日本の色 千年の彩展」開催

7月、NHK「課外授業 ようこそ先輩: 豊かな色の世界を知ろう」出演

12月より、吉岡幸雄、福田伝士の情熱を追ったドキュメンタリー映画「紫」公開(企画製作 株式会社エーティーエムケー)



12月、王朝のかさね色辞典』(紫紅社刊) 刊行

12月20日(火)〜25日(日)
日本橋高島屋 染織家 吉岡幸雄の仕事
王朝のかさね色」展開催

平成24年
(2012)
3月、第63回 (平成23年度) 日本放送協会 放送文化賞受賞
平成26年
(2014)
5月、奈良・薬師寺 玄奘三蔵会大祭 玄奘三蔵1350年御遠忌法要 (伎楽衣裳制作: 染司よしおか 吉岡幸雄)

5月、日本橋高島屋にて、吉岡幸雄の仕事
日本の暦・色かたち」展を開催。

9月、高島屋京都店にて、「日本の色 吉岡幸雄の世界
〜カッシーナ・源氏物語との出会い〜」展を開催。

10月、台湾南投県、International Craft Design Exhibition on Natural Dyes 2014 (国際天然染料クラフトデザイン展)にて吉岡幸雄作品展示

12月、マレーシア Natural History Museum にて、吉岡幸雄個展「Revive the Legend — Revitalising Japan’s Traditional Colours from the Nature of Asia」開催。

12月〜、NHK Eテレ番組「趣味Do楽 にっぽんの布を楽しむ 〜訪ねて・ふれて・まとう〜」にて講師をつとめる
平成27年
(2015)
美術館「えき」KYOTO
日本の色・四季の彩 染色家 吉岡幸雄展」開催
平成28年
(2016)
NHK Eテレ番組 こころの時代
「祈りの色を染める」吉岡幸雄出演

10月、高松市四国村にて「吉岡幸雄ディレクション展 JAPAN BLUE の世界」開催

11月、日本橋高島屋にて、吉岡幸雄の仕事
海を渡る日本の色」展を開催。
平成29年
(2017)
5月、NHK BSプレミアム
失われた色を求めて」放映

吉岡幸雄が英国V&A博物館から依頼された永久保存用「植物染めのシルク」を制作するために、失われた材料や手法を求めて旅する様子を紹介したドキュメンタリー番組。
平成30年
(2018)
2018.6.2 〜 2019.1.27
英国V&A博物館 吉岡幸雄作品展
「In Search of Forgotten Colours
失われた色を求めて」

NHK制作「失われた色を求めて」の映像も公開中 (V&A博物館 YouTube チャンネルより)



2018年10月、両足院表門幕奉納
染司よしおかにて、紫根、約50キロを使用して染色。

2018年12月、CNN Worldwide
グローバルメディア Great Big Story
吉岡幸雄を紹介する映像公開

平成31年
(2019)
2019.4.5 〜 2019.5.19
ロンドン の Japan Houseにて作品展示
Living Colours: Kasane —
the Language of Japanese Colour Combinations
かさねの森 染司よしおか



2019.9.30
染司よしおか5代目 吉岡幸雄、心筋梗塞のため73歳で逝去。
令和2年
(2020)
2020.3.21
NHK映像ファイル あの人に会いたい
吉岡幸雄(染色家)
令和3年
(2021)
2021.1.5 〜 5.9
染織史家・吉岡幸雄 回顧展@細見美術館
日本の色―吉岡幸雄の仕事と蒐集―
令和4年
(2022)
2022.7.2 〜 8.28
美しき色、いにしへの裂
 ― ぎをん齋藤と染司よしおかの挑戦 ―

 @細見美術館
令和5年
(2023)
2023.09.16 〜 11.58
「至高の紫 典雅の紅 王朝の色に挑む」
 @岡崎市美術博物館
日本橋高島屋 吉岡幸雄の仕事「王朝のかさね色」展 ドキュメンタリー映画「紫」色に魅了された男の夢
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